WiMAXとパソコンなどのWiFi機器を接続する際に必要なSSIDと暗号化キーですが、そもそもこれらは何かと疑問に思うことがあるのではないでしょうか。
簡単に言うとSSIDとはWiFi接続先のネットワーク名、暗号化キーとは選択したネットワークに接続するためのパスワードのことです。
WiMAXルーターにはマルチSSIDの機能を搭載した端末があり、「プライマリSSID」や「セカンダリSSID」といった2つのSSIDを使用することができます。
そこで今回はWiMAXのSSIDの詳細やSSIDは変更できるのかについて説明していきます。
WiMAXルーターのSSIDって何?
WiMAX初心者やIT用語に詳しくないという場合は、SSIDという言葉を聞いても何のことか分からないかもしれません。
SSID(Service Set Identifier)とは無線LAN接続設定を行う際に必要となるもので、無線LANルーターやモバイルWiFiルーターなどの無線アクセスポイントを識別するための名前、すなわちWiFi接続先のネットワーク名のことを言います。
つまりSSID機能があることで、パソコンやタブレットのような無線LAN端末とWiMAXの接続設定を行う際に、複数あるアクセスポイントの中からどれがWiMAXのアクセスポイントなのかを正しく判別することができるのです。
WiMAXルーターにSSIDが2つある理由
WiMAXとパソコンなどの通信機器をつなぐ際に必要なSSIDですが、WiMAX本体や無線LAN初期設定シールを確認してみると、「プライマリSSID」や「セカンダリSSID」と表示してあり、なぜSSIDが2つあるのかと疑問に思うかもしれません。
実はWiMAX端末には「マルチSSID」という機能が搭載されており、1つのWiMAX端末につき複数のSSIDを持つことでそれぞれ異なるセキュリティ設定を行えるのです。
例えばセキュリティレベルの高いパソコンとセキュリティレベルの低いゲーム機を同じSSIDに同時接続する場合、最も低いセキュリティレベルに統一されてしまうためパソコンのセキュリティがゲーム機と同じレベルに下がります。
このような場合に各通信機器を別々のSSIDに接続することで、もともとのセキュリティレベルを保つことができるのです。
またWiMAXを自分以外の誰かと共有する場合、相手とは別のSSIDを使用することで自分のデータを相手から傍受されるのを防ぐこともできます。
このようにSSIDが複数あることにより安全なデータ通信を行えるメリットがあるので、SSIDを上手に使い分けてWiMAXを使用すると良いですね。
暗号化方式の違い
無線LAN通信は有線LAN通信よりも電波を傍受されやすく、最悪の場合IDやパスワードを盗まれてネットワークへ不正侵入される可能性があります。
このような事態を防ぐためにWiFiルーターはSSIDと暗号化キー(パスワード)を設けてセキュリティを確保しています。
そのためWiFiルーターと通信機器をつなぐ場合、SSIDと暗号化キーが一致することで WiFi接続設定を完了できるという仕組みとなっているのです。
なお暗号化キーには主にWEP、WPA、WPA2という3つの暗号化方式が利用されており、それぞれ特徴も異なります。
・WEP
WEP(Wired Equivalent Privacy)は1997年に登場した最も古い暗号化技術です。
無線LANが登場した際にセキュリティとしてWEP方式が採用されましたが、その後すぐに解読される危険性があることが判明し、今ではソフトウェアを使って誰でも簡単に解読することができます。
そのためパソコンやタブレットなど大事なデータを取り扱う端末をWiFi接続する場合はWEP方式よりも安全性の高い暗号化方式を利用しましょう。
・WPA
WPA(Wi-Fi Protected Access)は脆弱性が発見されたWEPの改良版として策定された認証方式です。
WPAには一定の通信使用量ごとにセキュリティキーを更新するTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)と呼ばれる暗号化プロトコルが採用されており、WEPよりも高い安全性を持っています。
しかしWEPよりも時間はかかるものの、WPAも解読される危険性があるので決して安全とはいえません。
・WPA2
WPA2はWPAをさらに改善した認証方式です。
WPA2にはWEPやTKIPで発見された脆弱性を見直したAES(Advanced Encryption Standard)と呼ばれる、米国政府も採用している最もセキュリティレベルの高い暗号化方式が用いられています。
なおWiFiの暗号化技術として最高の強度を誇るWPA2でも2017年にKRACKs(Key Reinstallation Attacks)と呼ばれる攻撃への脆弱性が発見されました。
しかしKRACKs攻撃を行う場合は無線LANのエリア内にいる必要があるため自宅で利用しているWiFiなら心配はほとんどなく、対象デバイスをアップデートしセキュリティパッチをインストールすることによりKRACKs脆弱性を回避できることからあまり神経質になる必要はありません。
そのため安全性を確保した通信を行いたい場合はWPA2方式を利用することを推奨します。
このように異なる特徴を持った暗号化方式ですが、WiMAX機種は全て同じ暗号化方式が採用されているわけではありません。
そこでWiMAX機種の中で人気なW06とWX05、W05にはどの暗号化方式が採用されているのか調べました。
結論から言うと記載した3機種ではすべて安全性の高いWPA2/WPAが利用できますが、接続する通信機器によってはWEPでの接続しかできない可能性があります。
W06の場合
W06ではプライマリSSIDとセカンダリSSIDがあり、この2つのSSIDがそれぞれ利用している暗号化方式は異なります。
プライマリSSID(SSID1)では安全性の高いWPA2とWPAを採用していますが、セカンダリSSID(SSID2)ではWEPを利用することになるのです。
そのため一部のゲーム機などで無線LANのセキュリティ設定がSSID1に対応していない場合以外はSSID2での接続は控えた方が良いでしょう。
WX05の場合
WX05でもプライマリSSIDとセカンダリSSIDの2つを利用することができ、プライマリSSIDではWPA2とWPA、セカンダリSSIDではWEPを採用しています。
WX05でも特別な理由がない限りはプライマリSSIDでの安全なインターネット接続がおすすめです。
W05の場合
W05でもW06やWX05と同様にプライマリSSIDとセカンダリSSIDがあり、プライマリSSIDにはWPA2とWPA、セカンダリSSIDにはWEPが採用されています。
そのためパソコンなどでデータ通信を行う場合は安全性の高いプライマリSSIDでWiFi設定を行うことをおすすめします。
旧型のゲーム機ではWEP方式のセカンダリSSIDを選ぶ
セキュリティの面において安全性の低いWEP方式ですが、旧型のゲーム機ではWEP方式が採用されているものが多いです。
前にも述べたように、セキュリティレベルの高い通信機器とセキュリティレベルの低い通信機器を同じSSIDに接続してしまうと、セキュリティレベルの低い方に統一されてしまいます。
そのためゲーム機と他の通信機器をWiMAXに同時接続する場合はゲーム機やWEP方式が採用されている通信機器はセカンダリSSIDを使用し、プライマリSSIDのセキュリティレベルを下げないようにしましょう。
なお、前述した3機種のWiMAXルーターでは初期設定でセカンダリSSIDがオフになっているので、セカンダリSSIDを利用する場合にはモジュールをオンにしてから利用してください。
SSIDは変更可能
WiMAXのセキュリティ面を考えて定期的にSSIDを変更したいと思うことがあるのではないでしょうか。
その場合、ブラウザのURL欄にhttp://speedwifi-next.homeと入力することでSSIDを変更できる設定画面を表示させることができます。
新しいSSIDの設定方法は下記の手順となります。
- 設定画面の左側にあるメニューから「無線LAN基本設定」を選択
- 「SSID」の欄に設定したい文字列(半角英数字1〜32文字)を入力
- 「設定する」をクリック
- 設定画面更新後、左側のメニューの「設定を反映する」をクリックして設定完了
ただしSSIDを変更後はWiMAXに接続していた通信端末のネットワークが切断されます。
そのため再度新しいSSIDにて無線LAN設定を行う必要があります。
ちなみに、新しく設定したSSIDや暗号化キーを忘れた場合、W06やW05では「設定」→「情報」→「SSID情報」、WX05では「情報」→「Wi-Fi情報」の順でタップしていくとWiMAX本体の画面上で確認できるので安心して下さい。
まとめ
WiMAXサービスを契約した際に最初に行うWiFi接続設定に必要なSSIDや暗号化キーは、ユーザーが安全にインターネット接続を行えるようセキュリティの役割を果たしています。
ただWiMAXは「プライマリSSID」と「セカンダリSSID」の2つを持っており、WiMAX端末によって利用されている暗号化方式は異なります。
WiMAXの人気機種であるW06、W05とWX05ではすべてプライマリSSIDのセキュリティレベルは高いですが、セカンダリSSIDのセキュリティレベルは低いです。
そのためパソコンやタブレット、スマホなどではプライマリSSIDを使用し、旧型のゲーム機などセキュリティレベルの低い端末はセカンダリSSIDを使用するようにしましょう。
なおSSIDはブラウザ内で変更可能となっていますので、セキュリティ面を考えて定期的に変更するとより高い安全性を保つことができますね。