グローバルIPアドレスとは、インターネット上で他の機器と通信するために必要な住所にあたる情報です。
一部のオンラインゲームやアプリケーションなどは、グローバルIPアドレスがないと利用できません。
WiMAX2+は2015年3月下旬以降、全ての機器にプライベートIPアドレスが割り振られるようになりました。
これにより一部のオンラインゲームやアプリケーションの利用が制限されるようになったのです。
その回避策として、月96円のグローバルIPアドレスオプションを契約することで、WiMAX2+でもグローバルIPアドレスが利用できるようになります。
本オプションを提供するプロバイダを契約していれば、WiMAX2+機器本体の設定を変更するだけでグローバルIPアドレスに切り替えられるのです。
とっつきにくいイメージのあるグローバルIPオプションの概要と、利用手順と不要になった際の解約方法を紹介します。
グローバルIPアドレスとは?
IPアドレスとは、ネットワーク上に接続されたPCやサーバー・通信端末1台1台に割り振られた住所のようなものです。
ネットワークではこの住所の情報をもとにお互いの居場所を確認して通信を行っています。
グローバルIPとプライベートIPの違い
IPアドレスは大きく分けてグローバルIPアドレス・プライベートIPアドレスの2種類があります。
両者の違いは以下の通りです。
グローバルIPアドレス
インターネット上で通信をする際に必要なIPアドレスのことです。
インターネットに接続されたサーバーや通信機器には、それぞれの世界中でユニークなグローバルIPアドレスが割り振られます。
現在、主に利用されているIPv4のグローバルIPアドレスは約43億個(2の32乗)ありますが、これは世界の人口より少ない数。
世界的にインターネットが広まった現在では足りなくなってきており、節約が必要な状態です。
また約340澗(340兆の1兆倍の1兆倍)という、無限に近いような膨大な数のアドレスが使えるIPv6アドレスの普及が待たれています。
プライベートIPアドレス
IPv4のグローバルIPアドレスが枯渇する可能性があることから生まれたのがプライベートIPアドレス。
企業や大学・自宅内の閉じられたネットワーク(LAN)だけで使われる専用のIPアドレスのことです。
プライベートIPアドレスでは、あらかじめ決められた範囲を個人・企業がLAN内で自由に割り振ることができます。
そのためグローバルIPアドレスと異なり、PCやサーバー・通信機器に割り振られるアドレスはユニークではなく、プライベートIPアドレスではインターネットに接続することができません。
プライベートIPアドレスを割り振られた機器がインターネットに接続するためには、ルーターのNAT・NAPTという技術を使ってグローバルIPアドレスと紐づけられる必要があります。
WiMAX2+機器に割り振られるのはプライベートIPアドレス
2015年3月下旬までWiMAX2+機器にはグローバルIPアドレスが割り振られていましたが、IPv4のグローバルIPアドレスが世界的に不足していることから、プライベートIPアドレスに順次切り替えられました。
現在では、全てのWiMAX2+機器にプライベートIPアドレスが割り振られています。
グローバルIPアドレスが必要なケース
WiMAX2+では、1つのグローバルIPアドレスに複数のプライベートIPアドレスを紐づけ通信機器で変換するNAPTという技術が使われています。
結果1つのグローバルIPアドレスを複数のユーザー(WiMAX2+機器)が共有して利用する状態となっています。
この場合、接続先からはどのWiMAX2+機器と接続しているのかを特定できません。
そのため、WiMAX2+機器にプライベートIPアドレスが割り振られた状態では、以下にあげる内容が利用できない可能性があります。
プライベートIPでは利用できないサービス |
ルータのUPnP対応やポート開放設定が必要なオンラインゲーム |
DymamicDNS、外部からIPアドレスを指定してアクセスするサーバ |
TCP/UDP以外のプロトコルを利用するリモートアクセス |
プライベートIPアドレス未対応のアプリケーション・ネットワーク機器 |
WiMAXのグローバルIPオプション
UQコミュニケーションズでは、グローバルIPアドレスが必要なユーザー向けにグローバルIPアドレスオプションを提供しています。
このオプションを利用することで、1つのグローバルIPアドレスを必ず占有でき、グローバルIPアドレスが必要な各種通信が行えるようになります。
なお、このオプションの利用にあたって申込手続きはいりません。
WiMAX2+機器に必要な設定を行うだけで利用が可能です。
ただしグローバルIPアドレスオプションを使って1度でも接続を行った月は、月額料金に96円/月が追加されるので注意してください。
このオプションに日割はないため、仮に月末に利用したとしても96円/月が満額発生します。
その他、本オプションの利用にあたっては、以下の点をあらかじめ確認しておきましょう。
利用可能な接続の種類
WiMAX2+による接続だけでなく、au 4G LTEによる接続の場合でもグローバルIPアドレスが割り振られます。
ただしau 4G LTEを利用した月は、2年契約の場合LTEオプション利用料として1,005円が追加されます。
いつから使えるか
グローバルIPアドレスオプションはサービス加入が完了した翌日の午前2時頃から利用可能です。
グローバルIPアドレスオプションによる接続が月をまたいだ場合は、両方の月で96円/月がかかります。
日割りにはなりません。
WiMAXのIPアドレスは動的・固定どっち?
動的な割当てとなります。
そのため接続毎に割り振られるIPアドレスが変わる可能性があります。
固定のグローバルIPアドレスが必要となる、サーバー運用のような利用はできないので注意しましょう。
グローバルIPアドレス必要有無の確認
ソフトウェアやネットワーク機器毎にグローバルIPアドレスが必要か否かは、WiMAX2+のプロバイダのサポートでなく、各提供元に確認する必要があります。
グローバルIPオプション提供プロバイダ一覧
以下WiMAX2+のプロバイダで本オプションを提供しています。
- UQコミュニケーションズ
- BIGLOBE
- So-net
- nifty
- GMOとくとくBB
- Broad WiMAX
- エディオンWiMAX
- YAMADA Air Mobile
なお、ここに表記がないプロバイダでも、オフィシャルサイトに記載がないだけでグローバルIPアドレスオプションを利用できる可能性があります。
たとえば私は個人的にWiMAX2+プロバイダの1つ「3WiMAX」のサポートへ問い合わせたことがありますが、契約後にサポートセンターへ連絡すればグローバルIPアドレスオプションが利用可能になるとのことでした。
詳しくは申込を検討しているプロバイダに問い合わせてみて下さい。
グローバルIPアドレス設定方法
さて、ここからは実際にグローバルIPオプションを契約した際の設定方法を解説します。
グローバルIPアドレスオプションを利用する場合の設定方法は、WiMAX2+機器によって異なります。
ここでは参考までに、ファーウェイ・ジャパン株式会社製のWiMAX2+端末W03を例に説明します。
なお、その他のWiMAX2+端末の場合でも設定の流れは同じです。
グローバルIP設定の流れ
1)PC等をWiMAX2+でインターネット接続します。
2)ブラウザを起動しURL欄に「http://192.168.100.1」と入力します。
3)WiMAX2+機器設定ツールのログイン画面が表示されます。
4)ユーザー名に「admin」、パスワードにWiMAX2+本体に貼られたIMEI番号の末尾5桁を入力し「ログイン」をクリックします。
初めてのログイン時には以下キャプチャのようにパスワード変更画面が表示されます。
「後で」をクリックしてもかまいませんが、セキュリティが気になる場合は「今すぐ変更」をクリックしてパスワードを変更してください。
なお、その後の設定はどちらの場合も同じです。
5)「設定ツール」の画面が表示されるので「設定」→「プロファイル設定」と進みます。
6)「プロファイル設定」画面で以下情報を入力し「保存」をクリックします。
設定内容 | |
プロファイル名(任意) | Globel |
APN(接続先情報) | wx2.uqwimax.jp |
ユーザー名 | global@wx2.uqwimax.jp |
認証タイプ | CHAP |
IPタイプ | IPv4 |
7)成功画面が表示されたら設定が完了です。
これでグローバルIPアドレスが利用できます。
WiMAXのグローバルIPアドレス解約方法
グローバルIPアドレスオプションを利用しつづけると96円/月が発生し続けます。
不要になったら設定を元に戻しましょう。
やり方はWiMAX2+機器によって異なります。
こちらも参考としてW03の場合の設定を紹介します。
なお、他のWiMAX2+機器でも表示される画面は異なるものの、設定する内容や手順の概要は同じです。
グローバルIPアドレス解約の流れ
1)W03の電源を入れ、「設定」をタップします。
2)「通信設定」をタップします。
3)「プロファイル設定」で「Internet」を選択し「✓」をタップします。
これでグローバルIPアドレスオプションを利用しない状態に戻ります。
まとめ
2015年3月下旬以降、WiMAX2+機器にはプライベートIPアドレスが割り振られるようになりました。
そのため、グローバルIPアドレスが必要な一部オンラインゲームやアプリケーションなどが使えなくなっており注意が必要です。
グローバルIPが必要なアプリやオンラインゲームを利用している人でWiMAXを検討している人は、グローバルIPオプションを提供しているプロバイダを契約するようにしましょう。